俺の花嫁～セレブ社長と愛され結婚!?～

「そんなことにならない！　お前を不幸になんかさせねぇから！　俺が守ってやる！」

「なに言ってんの！？　そんなこと軽々しく言わないでよっ……！」

だって、彼女がいるんでしょう？
守ってやるだなんて、簡単に言わないでほしい。嘘でも、期待させないで。
私はただの幼なじみで、それ以上でも以下でもない、女性として考えたことなんてないくせに。

それなのに、大河は涙をこぼし続ける私に肩を貸してくれる。
しゃくりあげる私の頭をそっと撫でて、大丈夫だよって、無言の優しさをくれる。

やめてよ、そんなに甘やかさないで。
彼氏でもなんでもないのに。昔から家が近かっただけの、ただの知り合いなのに。
遠い宇宙の彼方みたいなところに生きている人を、万が一にでも好きになっちゃったらどうしてくれるんだ。

「莉依」

大河は不意に私を自分の肩から引き離すと、今度はその手のひらで私の頬を包み込んで、向きなおった。

「就職ができないなら、お前が結婚したいと思える相手が見つかるまで、ずっとここにいればいい。俺がお前を養ってやる」

「なに言ってるの……？」

「だから泣くな。俺がそばにいてやるから……な？」

キラキラとした双眸が一心に私を見つめていて、そのあまりの破壊力にへなへなと力が出なくなってしまった。

ずっとここにいていいって――養ってやるって――それって、一歩間違えたらプロポーズじゃないか。
ふにゃあ、と情けなく頬が緩んでしまいそうになる。
このまま甘えて胸に飛び込んだら、受け止めてくれたりするのだろうか。

でも、ちょっと待って。大河は私のことを好きだなんて一言も言っていない。そもそも彼女がいるんだ。
単純に社長だから、私を養ったところで経済的に痛くもかゆくもないだけなのかもしれない。
昔馴染みだから気まぐれに手を差し伸べてみただけ……とか？