俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
ミストサウナと泡風呂と最高の夜景が臨めるラグジュアリーなお風呂から上がり、上機嫌でリビングへ戻ってくると、ガラステーブルの上に分厚い資料が高々と積み上がっていた。

「これってもしかして……」

「お前に予習してほしい資料だ。秘書業務のノウハウや、うちの会社に関する情報――例えば、経営方針、事業展開、同業者や市場の動きとかだな。来週から働けるように手配しておいたから、それまでに頭に入れといてくれ」

一瞬にしてポカポカと温まっていた身体に、ヒヤッとする冷気が押し寄せてくる。

「こ、こんなに読まないと秘書は務まらないの?」

「読むんじゃない」

大河が辞典ほどの厚さのある資料を一冊持ち上げて、パン、と叩いた。

「暗記するんだ」

「いや、それはさすがに……」

受験勉強の参考書だって、積み上げてもこんな高さにはならないだろう。
しかも、数か月かけてではなく、来週まで――今日プラス四日間で全部丸暗記しろというのか。

「どうせ今無職で、暇なんだろ? 丸四日も勉強してられるじゃないか」

「そうだけど、さすがにこの量は……」

努力は最大限するつもりだったけれど、ここまでくるともはや人間の限界を超えている。これが簡単に覚えられるのなら、今頃一流大学を卒業しているだろう。

「お前が言い出したんだぞ? ちゃんと一人前の仕事ができるように、頑張りたいって」

「それは……もちろん」

「莉依」

突然真面目な顔で詰め寄ってきたから、思わずだじろいでしまった。
大河は私をソファに座らせると、その隣に腰掛け、私へ向き直った。
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