俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「ご飯、食べるか」

「うんっ!」

「……でも、莉依はテストの結果が悪かったから、これな」

そう言ってもうひとつのビニール袋から取り出したのは、コンビニのハンバーグ弁当。398円。

――嘘でしょう?

「あの、大河……」

「仕方ないよな。約束だもんな」

「じゃあ、この高級弁当は――」

「しょうがないから、俺が食うよ。あーこんなにたくさん食えるかなー。太っちゃうかもなぁー」

――前言撤回します。
やっぱりコイツ、鬼だ。悪魔だ。ムチとムチしか見せないじゃないか。
愕然とする私をよそに、大河が高級牛肉のハンバーグを頬張る。

「うわっ、旨っ」

まるで食レポなりのオーバーリアクションで、大河は私にその美味しさをひけらかした。

「大河……あんたちょっとは心が痛まないの?」

「ええ? 仕方ないなぁー」

ニヤリと意地悪に笑った大河が、フォークに刺したハンバーグを私の前にちらつかせる。

「ほら、あーん」

私が大口を開けたところで、ハンバーグが方向転換し、大河の口の中に吸い込まれていった。

「あー、この旨さ。お前にも味わわせてやりたい」

腹が立つを通り越してなんだか悲しくなってきてしまった。
大河がこんなに意地悪なやつだとは思わなかった。
もはや愕然とする私に、大河が上目遣いで覗き込んでくる。
< 30 / 173 >

この作品をシェア

pagetop