俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「まさか、寝ないで勉強してたのか!?」
朝、ジャージ姿のままリビングにやってきた大河は、夕べからテーブルにかじりついている私を見て呆れた声を漏らした。
正直、追い詰められていた。週明けに初出勤だというのに、もう金曜日。
あと三日でこの量を覚えきれるか、はっきり言って、一分一秒も惜しいくらいだ。
「大丈夫だよ、大河と違って仕事ってわけじゃないんだし、眠くなったら昼寝すれば――」
「昼寝するくらいなら、普通に睡眠取った方が効率的だって、思わないのか?」
厳しめにこられて、なにも言い返せなくなってしまった。正論だ。
「……体調崩して出勤できませんでしたなんてオチ、許さないからな」
それだけ冷ややかに言い放って、大河は出勤前の準備を始める。
大河の言うことはもっともだけれど、私としては今が人生の岐路、頑張りどきだと思う。
この先の未来がかかっているのだ、ここで死ぬ気でやらなくてどうするんだ。
大河の忠告にも耳を傾けず、私はひたすら勉強に没頭した。
けれど、夕方にもなるとさすがに頭がぼんやりとしてきて、眠いという感覚を通り越して意識を失くしてしまう始末。
ちょっとだけ、ちょっとだけと思って机に突っ伏したら、そのまま大河が帰ってきたのにも気づかないくらい、深い眠りに落ちてしまった。