俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
『周りに人がいたから、お前だけ特別扱いするわけにいかなかったんだ。……悪かった。冷たい態度取って』

耳に届いたぶっきらぼうな謝罪に、私は目をぱちくりさせた。
もしかして、私が傷ついたと思って、今までずっと罪悪感を抱き続けてきたのだろうか。

「大丈夫だよ。大河の立場はわかってるし、仕方がないってことくらい」

そう答えながら、私は自室のベッドに腰をおろした。

部下である私に厳しく接するのは、社長として当たり前のこと。それをプライベートまで引きずってどうこう言う方が間違っていると思う。

『自分でも嫌なんだ。周りに威圧的な態度を取るのは。あんな姿を莉依に見られたくなかった』

「強い振りをするのも社長の仕事のうちなんでしょう?」

『振りってなんだ振りって。まるで弱いみたいに』

大河の声が、ほんの少しだけムッとする。

「陰で私に謝ってる時点で、だいぶ繊細だと思うけど。大河は昔っからいつもニコニコして、周りを傷つけないようにしてたから――」

人当たりがいいと評判だった大河は、きっとその分、自分を押し殺して、周りを不快にさせまいと気を使って生きてきたのだと思う。
誰よりも平和主義者で人の心を気にかける彼。

もしかしたら、今の社長という立場は向いていないのかもしれない。圧制を敷くってタイプじゃないもの。

「それでも社長として演じ続けようとする大河は立派だと思うよ」

自分の役目をまっとうしようと、彼も必死なんだ。
恭子さんがそれを理解した上で大河と付き合っていたみたいに、私だってちゃんと彼を受け入れてあげたい。
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