優等生、中川君。
食べ終わって、ノートを写し始める。
カリカリカリ…
図書室に、あたしのノートを書く音が少し響く。
「……こころさん?」
突然名前を呼ばれて、ビクッとなった。
ノートをとる手が止まる。
「わ…え、中川君。」
声のする方を見ると、中川君だった。
「ど、どしたの?」
「いや、いたから。」
「そうなんだ…。」
「…嘘、あそこの人がこころさんの事呼んでる。」
そう言って中川君は、図書室のドアを指差した。
知らない男の子が、ポケットに手を入れてこっちを見ている。
目があうと、男の子はペコッと頭を下げた。
「あっ、ありがとう」
「うん。はやく行きなよ。」
やっぱり中川君は、冷静な感じ。
お礼を言って、その男の子の方へ行く。
中川君が、イスに座った音が聞こえた。