優等生、中川君。
5限目の初め。
まだ先生は来ていない。
急いで自分の席に座ると、中川君はもう席に居た。
「中川君、ノートありがとう。」
そう言ってノートを差し出すと、中川君はこっちを見た。
「あ、あぁ。うん。」
「どしたの?」
「いや、ぼーっとしてた。」
「そうなんだ。…本読みながらぼーっとするって、難しくない?」
少し笑ってあたしが言うと、中川君も口を緩ませて
「ふ、そうだね」
と言った。
中川君は、なんだか不思議な感じがする。