優等生、中川君。
「乗って。」
目の前にあるのは、黒を基調とした単車。
「カッコいい…中川君の?」
「うん、父の弟から譲ったものだけどね。」
「そっかあー」
太陽の光に反射して、弱くキラキラと光る車体。
中川君がこんなの乗るなんて、意外だった。
それに、ピカピカでよく手入れされているのが分かる。
「早く乗りなよ」
「え…いいの?」
「うん。道案内してくれればね。」
あたしの方を向いて、また、緩く笑う。
ゆっくりとピカピカの車体をまたぐ。
「ちゃんと持ってて。」
その合図で、中川君は走り出した。