優等生、中川君。
外へ出て、電話に出る。
「はい、もしもし?」
『こころ!?今どこにいんの!?』
「え?商店街の方だけど…?」
『ダメー!!ダメダメダメ!!』
ゆかりの声が、耳にキーンときた。
腕組みをしていたからか、危うくケータイを落としそうになる。
「な、なにがよ?」
『だから!取りあえずダメ!そこから離れて!!』
ゆかりの声が大きい上、歩道を挟むと道路で、雑音を避けようと、店と店の間に入った。
「はぁ…?無理に決ってんでしょ。」
『無理じゃない!早く!正人君が!』
「正人がどし…」
正人がどしたの?と言おうとした瞬間。
「もー、正人のバカ。」
「ゴメンゴメン。ほら、ゆり、あの店でも入ろう。」
「仕方ないなぁ、もう。正人のおごりなら許す~。」
「ゆりにはかなわないなぁ。」
あたしの右側を、楽しそうに歩くカップル。
『こころ?こころ?』
それは、紛れもない
『こころ!?……もしかして見ちゃった…?』
「正人…」