優等生、中川君。





『こころ…』


「ゆかり、ゴメンね。また明日ね。」



『………うん。…………はっ!?ちょ、こころ!別れなよ!?てかまって明日って日曜…ブッ』



プーップーップーッ…






重い足取り。


店へ入って、中川君のいる席へ向かう。



「おかえり。」

「…ただいま。」



少しだけ、笑う。けど
笑えない。


「座りなよ。」

「うん…。」





2人ともが、無言のままだった。


中川君は、何も聞いてこない。


電話する前まであった、中川君の料理は全て無くなっていた。



そして、いつも通り、冷静に淡々としていて。




「…中川、君。」


「ん?」


「彼女に、彼氏がいたらどうする?」


「……それって、関係的に難しすぎだね。」


「だね…」


「別に、離れるだけじゃないの」


「…え?」


「彼女に彼氏がいるんだったら、彼女は彼氏が好きで、彼氏は彼女が好きなんだろ。」


「…う、うん。」



「自分がまだ好きなら、それは片思いに戻っただけだよ」



「…う?ん…」

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