優等生、中川君。
だってあたしには、彼氏がいたから。
「こーこーろっ!おはよっ!」
「わっ、ゆかり‥」
朝、自分の席でひとりケータイを見つめていると、友達のゆかりが元気よくあいさつして来た。
「おはよう。ゆかりテンション高いね。」
「こころは、ほんっと、いつもシケてんねぇ~。」
「悪かったわねぇ‥」
はぁ、とため息をつきながらもう一度ケータイに目を戻す。
彼氏、正人から連絡が来ない。
付き合ってまだ3ヵ月。
最近になって音信不通が多くなった。
「ん?どした?ケータイなんか見つめちゃって。珍しい。」
「いやー‥正人がね‥。」
「ああ、正人君?どしたの?」
「連絡がさ、ね。」
「もー!だから辞めときなって言ったのにぃ!」
3ヵ月前、正人に告白されてゆかりに相談した時、「辞めな」と言われていた。
だけど正人があまりにも強引過ぎて、ゆかりの忠告を破り正人と付き合ってしまった。
「あいつは女好きって言ったじゃん!別れな!今すぐ別れな!」
「ゆ‥ゆかりぃ…」
「あのね!こころ、こーゆーのは早い方がいいのよ!」
「えぇ…いやでも、様子見てみようよ」
「こころ!」
「ねっ?あと一週間だけだから。」
「もぉ~…」