優等生、中川君。
─────…
昼休み。
図書室に行く為に、席を立ち上がる。
「橋本。」
「わっ」
顔を上げた瞬間、知らない人が真ん前に立っていた。
綺麗な、顔立ちだった。
それに、橋本だなんて、あまり名字で呼ばれないから戸惑った。
「…どちら様ですか…」
「林 虎太郎。3年。」
「はぁ。」
「率直に言う」
「…はぁ。」
「付き合ってくれ。」
「……無理です。」
早く、図書室に行きたい。
周りの子にも、なんだか注目されてるし…。
この先輩の顔が、綺麗だからかな?
「…じゃ。」
急いでその場から去ろうとした
その時、
「無理。いいって言ってくれるまで、離さない。」
そう言って先輩は、あたしの肩を掴んだ。
「……は?」
子供かアンタ。
そう言いかけたけど、言葉を飲み込んだ。
「ね、付き合ってよ。」
「無理です。」
「いいじゃん。」
「無理ですったら無理です。」
先輩がしつこく言うてくるものだから
負けずに拒否していたらパッと手を離して
「……ちっ」
と舌打ちした。
「ちって…なんですか…」
「…橋本、明日もまた来るからな」
「来ないで下さい。」
「今日は見逃してやる、じゃあな。」
「……はぁ」
スタスタと、先輩は教室から出て行く。
「変な人…」
そう呟きながら、図書室へ向かった。