白い虎と蝶 ~絆~
最後に顔の原形をとどめていない朱雀の顔にお見舞してから声のした方をゆっくりと振り返る。
「ま、な?」
俺はまなに名前を呼ばれた気がして動きを止めた。
「名前を呼ぶだけで止まった」
「やっぱりまなさんは特別なんすよ」
まなと目が合う。
一瞬。
だけど、俺にはずっとそうしていたように感じた。
「慧……こいつから、鍵を取り出せ」
もう見てられなかった。
すぐに目をそらして言う。
「はいっす」
「ま、な?起きた、のか?大丈夫なのか?」
震える手で、この手で触れていいのか悩んで手を引っ込めた。
「かな、め?お互い、さまだね。大丈夫だよ」
まなはほっとしたような顔をしていた。
彗の方を見れば俺が"入ってる"ってる間に朱雀とは終わったようで、パソコンを動かしている。
きっとどこから情報が漏れたのか調べてるんだろう。
ひかるは倒れた青龍たちを見張っている。
慧から鍵を受け取りすぐに足枷と手錠を外す。
「っ!!」
手錠のせいで吊り下げられてるような状態だったまなの体。
それを外されて前に倒れてきたのを俺はとっさに抱きとめた。
名前を呼ぶけど、反応がない。