白い虎と蝶 ~絆~
俺はまなを見て微笑みながら「おう!どういたしまして」と言った。
「……………。」
「……………。」
そのまましばらく2人とも黙ったままでいた。
その沈黙を破ったのはまなだった。
「かなめは気づいてるかもしれないけど、過去の話はあれだけじゃないの」
「あぁ。それに気づいてるの俺だけじゃないけどな」
「あー………みんな気づいてたんだ。さすがだね」
「俺たちは他の奴らよりも相手の表情とか感情を読み取るのに長けてるんだ。
青龍なんかじゃ、まなのことはわかんないだろーよ。朱雀ってやつを除いて」
「っっ!!」
朱雀という名前を俺が口にした途端まなに怯えが見えた。
そんなにもあいつが怖いのかよ。
「悪かった。そんなにだとは思わなかった……もう言わないから落ち着け。大丈夫、ここにはいない」
俺はまなに言いながら、頭を撫でた。
震えていたまなの体はしばらくして落ち着いた。
毎回大丈夫だと思えばまなの方から「もう平気だよ」と離してと言わんばかりに抵抗してきた。
だけど今回はなにもなかった。
俺は離れたくないからいいんだけど、いつも通りじゃないと心配だ。
「まな?」