白い虎と蝶 ~絆~
あの人達なら、こんな私でも……。
私の全部を知っても……。
きっと……。
カッターの刃を自分の首にもってくる。
でも、あの人にやっと会える。
さよなら。
『ほんとあほだな』
目を見開く。
さっきの人達みたいにまた冷たい目を向けてると思って上を向けなかった。
声だけで、誰かはわかるのに。
助けに来て欲しいと、願った人なのに。
安心できる場所を、私にくれた人なのに。
冷たい目を向けられるのが怖くて顔があげられないでいた。
あの1度でそれらを思わせてくれた人はあなただけだよ。
『いい加減顔上げろ、つばき』
『なんで!!』
……っ名前!
驚いて顔を上げる。
私がやっと顔をあげたことにかなめが微笑む。
冷たい目を向けていると思っていたのに、かなめは微笑んでいた。
無性に安心して、涙がでそうになる。
『お前のことならなんでもわかる。お前はわかりやすいからな』
涙をこらえて黙ったまま私は聞く。
『お前は強がりだ。それもすっげー強がり。
だから、俺が気づいてやらなきゃお前は一生自分の気持ちと、自分の心の傷に気づかないで死ぬことになる。そんなん辛いだけだ。
だから早く起きろよ。起きてまた……俺と一緒に話したり笑ったりしろよ。
それで、俺のそばにいろ。
そうじゃなきゃお前を、守れねーだろ?』