白い虎と蝶 ~絆~


「俺のことは頼ってねーのに」



自分で言っててだんだん腹が立ってくるのが分かった。



何言ってんだ、おれ。



こんなこと言いたいわけじゃねーのに。



「…………なに、それ」



「え?」



まなの声が、低くなった。



「私が頼ってないって言いたいの!? 私は頼ってるつもりだよ?



かなめに何があったか説明された時だって、私はかなめなら大丈夫って思って……。



あの時、手を握ったのに……」



そうだ。



まなから握っては来ないと思ったから俺から握った。



でも、握り返してきたのだ。



俺、なにをやってんだろうな。



「かなめには頼ってるよ?……寝てても誰かが近くに来たりしたら私、起きるんだよ?



でも、かなめがいた時は起きなかった。他の人が近くにいてもかなめが近くにいれば起きてない。



かなめなら……私に何かしてたら助けてくれるって思ったから」



まなが怒ってる。



怒っててもかわいいな。



まなが怒る時の顔も俺だから見せてるのかな。



他人に興味がないまなが俺に怒るのは少しは興味があるからなのかな。



なんて、こんな時に俺は何を考えてるんだ。

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