白い虎と蝶 ~絆~
またその顔。
興味ないのに媚びる意味がわからないって顔。
さすがだな。
「そんなお前だから俺はこうして話したり、家にあげたりしてるんだ。
バイクに乗っけたのはお前が初めてだよ。男でも乗っけたことは無い」
男なんか乗っけても気持ち悪いだろ?と続けた。
…………。
沈黙。
なんか、そう黙っていられると恥ずかしいな。
横目でまなを見てみると、俺の肩に頭を預けていた。
「俺が白虎になったのには、理由がある。
ひとつはあいつらに帰ってくる新しい居場所を作ってやるため。
もうひとつは俺の家族を探すためだ」
「家族………」
まなは自分の過去を話す時、家族の話はほとんどしなかった。
俺たちに話していない過去のことはきっと家族にあるんだろう。
まなは俺の裾を握った。
「俺は施設育ちなんだ、物心ついた頃から。
施設に預けられる前までの数年。俺は………俺と妹、両親の4人で暮らしてた。
ある日家で妹を見ててと頼まれ2人でいたんだ。
どのぐらい遊んでたんだろうな。気づいたら空が赤くなってた。
そしたら突然電話がかかってきた。親はまだ帰ってきてなくて仕方なく、俺が出たんだ。
電話の相手は全然知らない、聞いたことも無い声だった。
その声で言ったんだ。
事故で両親が亡くなった、即死だった、って」