白い虎と蝶 ~絆~
頭の中に「?」がいっぱいって顔してる。
「いまから2年前。俺は1度、ま……つばきに会ってるんだ」
「ふふふ。言い直さなくていいのに。でも、そうなんだ。私全然覚えてない……」
「だろうな。お前がまだ白蝶って呼ばれてすぐだったしな。
その時は、俺もまだ白虎を作ってすぐの頃で、知名度あげたくて公園とかいろんなところで喧嘩ばっかりしてた。
そんな時に、白蝶が俺と相手の間に入ってきて俺に言ったんだ」
懐かしいな。
あの時の俺は、今とは全然違う。
焦ってたんだ。
妹を早く見つけないのもあるし、居場所を作らなきゃって。
でも、白蝶に言われた。
白蝶はほとんどと言うべきか全くと言うべきかわからない。
けど、それぐらい喧嘩相手にはもちろん、初対面の人にも自分の声や素顔、姿を明かさないことでも有名だった。
その白蝶が初対面の俺には声を聞かせたんだ。
周りに聞こえて欲しくなかったのか耳元で。
『焦らなくていい。ゆっくりやっていけばいい。時間はいっぱいある』
そう言った。
さっき会ったばかりのやつに俺の考えてることがわかるなんてはじめてで、しかも白蝶は俺の欲しかった言葉をそのままくれた。