白い虎と蝶 ~絆~


「は?」



私は1度深呼吸をする。



「…お…………にい……ちゃん」



照れながら言ってみる。



自分で言っておきながら、すごい恥ずかしかった。



もう絶対に呼ばない。



そう心に決めたことは伝わらないことを祈る。



「つばき……無理しなくていい。でも、ありがとな」



「うん……」



でも、隆さんから兄がいることは聞いていたからかなめが私の兄で間違いないだろう。



かなめなら信じられる。



でも、複雑だな………。



「ここなら誰も聞いてないし俺の知ってることも話す。だから、つばきのことも全部、俺にだけでもいいから話してくれ」



「わかった」



私は全部話した。



本名を隠していたこと。



私にとって魁さんや隆さんのような人を見つけて朱雀を消すこと。



一人暮らしの理由。



なんでこの時期に転校だったのか。



家族のことも。



かなめたちに言わなかったこと全部。



本当はかなめたちも潰すつもりだったことも。



でも、潰す対象だったかなめたちは私にとっての魁さんや隆さんのような人達だったことも。



実は、年齢を偽っていたことも。



全部を包み隠さず。

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