白い虎と蝶 ~絆~
わからないことだらけだ。
でも、確実にわかるのは朱雀が私の携帯を持っているってことだ。
私もそれなりに朱雀のことは嫌でもわかる。
かなめ達にバレたら携帯が壊れるってことは、どこかで監視してる?
この組の中に朱雀の味方がいるってことか。
スパイでも潜り込ませてるのかな?
たしか黒狼のメンバーはみんな体のどこかに黒の狼が彫られてるって聞いた。
黒狼も白虎と同じで人数が少ないからきっと1人だ。
組員の中から探すのは時間がかかる。
取り敢えず部屋に戻って………いや、ダメだ。
部屋に行けばきっとかなめたちに会うし、気持ちが揺らぐ気がする。
そしたらこの気持ちに鍵をかけることは出来ない。
なら、このまま1人になろう。
私の家には帰れないから別のところに住もう。
誰かにこの気持ちを共有しない。
ほんとにかなめに、もう会えないのだとしたら鍵をかけよう。
これ以上誰かに共有しないように。
朱雀にもわからないように。
かなめほど私のことをわかる人はきっともう出会わないから。
私は結局、財布を取りに一旦部屋に戻ることにした。
部屋には誰もいなかった。