白い虎と蝶 ~絆~


どうして私を手に入れたいのだろう。



昔から何を考えているのか本当に分からない。



「わかった」



『いい子だね。つばきがいい子で俺は助かるよ。そのままこっちに向かって歩いてていいよ』



誰かに絡まれたら迷いなく倒していいからね。と言って電話を切った。



まるでこれから誰かに絡まれるみたいな言い方。



朱雀の最後の言葉に違和感を感じながら黒狼の街へ向かう。



………………。



「かなさん?」



………。



「あ、あのー、かなさん?どしたんすか?」



………あ、私か。



誰に話しかけてるのかわからなかった。



「買い物なら俺らが行きやす。誰も連れてないし俺が護衛行きやすよ」



なんでここにいるんだろう。



九条組の組員がこんな裏には普段いない。



よく見れば手にビニール袋持ってる。



買い物の帰りかな?



ま、もうなんでもいいけど。



「……来なくていい」



「え」



いくら九条組だとはいえ組員とは口を聞かない私が言葉を返したのがよほど驚いたんだろう。

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