白い虎と蝶 ~絆~
「で、でも、1人じゃダメっす。せめて、どこに行くかぐらい知らせてくだせい。一人でいるってことは誰にも言わずに来たんでしょ」



この人もそれなりに私のことがわかるんだね。



そんなにわかりやすいかな。



まだ鍵が足りないのかな?



「かなさん?どうしっっ!」



私は言い終わる前に組員の人を殴り倒す。



私からしたら組員なんか1発で倒せる雑魚と同じだ。



今の私には仲間はいないしこの人はもう私の知らない組員なんだ。



『絡まれたら迷いなく倒していいからね』



そうだ。



倒せばいいんだ。



私にはもう関係ないんだから。



恨まれたって嫌われたって、もう……関係ない。



そう思うのになんでだろう。



「ごめんなさい」



そう言ったのは。



目の前に倒れている九条組の組員を見る。



「まだ、意識あるでしょ。さよならって、隆さんや白虎に伝えてください」



それだけ言って私は歩き始めた。



九条組には杯を交わした者に彫る刺青がある。



私にはそれがない。



魁さんが、綺麗な肌をしてるんだから刺青なんてもったいないって言って彫らなかった。

< 199 / 238 >

この作品をシェア

pagetop