白い虎と蝶 ~絆~
隆もいろんなこと隠してるよな。
そんなことは後でいい。
今はとにかくあの組員から話を聞くことが先だ。
隆を先頭につばきとご飯を食べた部屋に行く。
部屋に入ると組長と手当を受けたあの組員が座っていた。
「佐伯(さえき)……」
この組員は佐伯って名前なのか。
「それで?話があるんじゃないの?」
ひかるが促す。
組長は腕を組み、胡座をかいた。
「取り敢えず座れ」
「失礼します」
組長の命令とも言える言葉に俺達も素直に従う。
俺らとは別格の雰囲気だ。
隆、俺、彗、ひかる、慧の順に座る。
「よし。佐伯。話せ」
「はい……」
佐伯は下を向いたまま、ゆっくりと話し始めた。
時々、悔しそうに手を握りながら。
「俺、姐さんに頼まれて買い物に行ってたんす。
その帰りにかなさんと会って、護衛も付けずに1人だったんす」
1人……。
またあいつは1人でなにかやろうとしてんのか。
「それで?なんでおめーはそんなにボロボロなんだ?佐伯」