白い虎と蝶 ~絆~
「それはかなさんが1人だったもんで護衛で俺がついて行くって言ったんす。
きっとどこに行くか言ってないと思ったから。そしたら、来なくていいって言われやした。
せめて行き先ぐらい教えてってくだせいって言ったらいきなり」
あいつが、いきなり組員を殴る?
そんなことするやつじゃない。
この組員があいつの嫌いなことをやってたらやられても俺にはあいつをとやかく言うことは出来ない。
でも、やってるとは思えない。
「お前はどう思う?白虎の総長さんよ」
組長が俺に聞く。
「何をだ?」
「かながいきなり俺の組員を殴ると思うか?」
どうゆう意味だ?
「なんで俺に聞くんだ?」
「質問に答えろ。今は俺が質問してんだ」
答える以外の選択肢はないってことか。
「俺は、いきなりあいつがやるとは思えない。なにか理由があるはずだ」
例えば、誰かにそうしろと言われた。
もしくは、敵の手中につばきの大切なものがある、とかな。
「そうか」
「あとかなさんから伝言を預かってます」
「内容は?」
組長が佐伯の顔をじっと見ながら聞く。
ひかると慧はただ話を聞くことしか出来ないようだ。
彗は聞くことに徹底してる。