白い虎と蝶 ~絆~
「かなの考えてることがわかるか?」
この質問が何に繋がるのかは分からない。
だが、ここで答えなかったら次に進めない。
「はい」
俺は組長の目を真っ直ぐ見て答える。
「かなにどこまで聞いた」
過去の話のことだろうか。
俺は施設育ちのことから中学時に何があったか。
そこからどう過ごしたか。
それから今に至るまで、聞いた話を全て包み隠さず話した。
組長はその間も真剣に聞いていた。
「そうか。そこまで話してたんだな」
隆も俺たちが過去の話をされていたのは知っていたが、どこまでかは知らなかった。
だからなのか、驚いた顔をしていた。
きっと誰にも自分から過去の話をしてないのだろう。
隆や組長は調べて知ってるだろうな。
「全部、知りたいか?」
「あぁ」
ひかるも彗も慧も、俺の言葉に頷く。
「なら、ここでは『かな』と呼べ」
俺は頷いて続きを待った。
「かなが襲われる1週間ぐらい前に神野会ってところと俺たち九条家は対立していた。
神野はかなが最も嫌いとしてることをやってる。だから潰そうとした。
もちろん、かなは神野のことなんか知らない。興味もないだろうな。
ただ嫌いなことをやってるヤツらを潰すことが目的だから。やってるその人物が誰だとか関係ないんだよ」