白い虎と蝶 ~絆~
「俺たち黒狼にだけその鍵を解いてくれるね?」
頭に手を置いたまま朱雀は笑った。
でも、私の心にかかっている鍵はそう簡単には解いてくれなかった。
「本当は鍵をかけてないでしょ?」
「朱雀、何を」
「つばきは鍵をかけてない。2人でこの部屋にいる間に気づかなかったお前は、本当の兄じゃないことがわかったんだよ。
だから、突き飛ばされた。
なんでか知らないが、かなめが誰なのか分かっていないようだけど。かなめの気持ちを強く押し殺してるってところか?」
目的の携帯は取り返した。
もうここにはいる必要はないでしょ?
でも、ここから離れたら私の居場所はあるの?
ここがこれからの私の居場所なの?
朱雀たちと一緒にいるの?
お兄ちゃん……会いたいよ。
お兄ちゃんと一緒にいたい。
「しばらくここにいような」
誰かがそう言った。