白い虎と蝶 ~絆~
「なんでって顔、してんな」
「…………」
「泣くなよ。ほら、おいで?」
その言葉に動かなかった私の身体はすぐに動いた。
琥太が掴んでいた手を簡単に振り払い、軽く手を広げているその人の元に走る。
「魁さん……」
「ははは。久しぶりだな」
久しぶりに見た魁さんの笑顔や声、仕草に私は涙を流すことしか出来なかった。
「かなが世話になったな。琥太」
「チッ。なんでお前が生きてんだ」
「約束したから。俺は約束は破らないんだよ。じゃーな」
「待てよ。いいのか?倒していかなくて」
背中を向けて歩いていた足を止めて魁さんは顔だけを向ける。
「お前が俺に勝てるのか?無駄な喧嘩は俺はしないんだ。それにここにいるのがお前でよかったよ。
ここに朱雀や昇太、珱次がいたら俺は迷わず殴りかかってたからな」
「っ!!」
魁さんの睨みに動けなくなった琥太。
そのまま魁さんは私の肩を抱いて歩く。
「遅くなってごめんな。帰ろう。
俺たちの家に」
私は頷くだけで精一杯だった。
建物の外に出ればそこにはかなめたち白虎と九条家のみんながいた。