白い虎と蝶 ~絆~
「俺の兄が結婚してすぐに魁が生まれた。兄は組の長男なんだ。
組を継ぐことになっていた兄は結婚を選び、組とは関係なく生活を始めた。
たがそれでも恨みを持ったやつは大勢いた。
そいつらが君の母親に無理やりしたのさ。
かなと同じことを。
それで出来てしまったのが君だ。
それでも、君を育てると決意したのがあの二人だ」
「だから、血は繋がってはいないんです。
それでも自分の子として育てたいという意志で戸籍に君の名前を入れたんです。
血は繋がってなくても不思議ではありません」
「そうか……あいつが1人なんじゃなくて、俺が1人だったのか」
そうか……。
「だけど」
「それでも、今の俺は1人じゃない。そんぐらいわかってるよ。
かなを助けてここに連れてきたのは魁が……兄貴が守ってやりたかったからだろうな」
もう、いないんだろ?兄貴。
俺は兄貴の分もつばきを守る。
そんで、俺のもんにする。
文句、言うなよ。
「兄貴の墓の場所ってどこですか」
「「は?」」
「え?」
2人して俺の質問に目を丸くした。
「兄貴は亡くなってるんでしょ?」