白い虎と蝶 ~絆~
あの日以来見たことがない隆の涙。
あの日とは真逆の意味での涙だ。
「当たり前だろ?お前は離れてても生まれた時からずっと今でも、これからも俺の家族だよ」
魁にぃはニカッと微笑む。
魁にぃの笑顔に私はまた涙が出そうになる。
「つばき」
かなめに名前を呼ばれて後ろを振り返る。
「お兄ちゃん、なんて私は呼ばないよ」
「呼んでもらっちゃ、困るぜ?」
「ふふふ」
魁にぃに鍵を解かれたあの時からかなめのことがよく分かるようになった。
かなめもその事に気づいているようで私は心の中でかなめに「大好きだよ」と伝える。
かなめも声には出てないが「俺は出会う前からお前が好きだったよ」って返してきた。
「白虎は私の唯一の仲間だよ。
遅くなって、ごめんね」
「待ってたよ!つばきちゃん♪」
「遅いですよ」
「やっとっすか」
少し軽いひかるも、敬語が抜けない彗も、ちょっと冷たい慧も、私の大切な仲間。
私はこれから魁にぃの家族として、白虎の仲間として、なによりかなめの彼女としてこれから生きていく。
一時は捨てたこの命。
拾ってくれたのは魁にぃで、前に踏み出させてくれたのはかなめたちで。
それをずっと支えてくれたのが隆だ。
もう遠慮はいらない。
壁だって作らなくていい。
私は1人じゃないのだから。
「私の大切な人たち」