白い虎と蝶 ~絆~
でも、あの男達じゃないことだけはわかった。
このホテルに連れ込んだのはあいつらだ。
それなのに鍵を使わないってことはあいつらじゃないってことだ。
それでも怖かった。
怖くて隠れることもできなかった。
私は、その場にしゃがみ込んで、膝を抱えた。
カチャカチャ……カチッ。
ガチャ。
「っ!!」
やだやだやだやだやだ。
コツ…コツ…。
こないで。
近づかないで。
もう……嫌っ!
コツ……コツ……。
「…………ゃ……ぃ、いやっ!!こないで!」
もう、やだ、こんな世界。
「はぁ……ったく、触らないから。ソファーに行くぞ。立てるか?」
「…………」
優しい声。
ゆっくり目だけを外に出す。
どうやらしゃがんで私と同じ目線になってるようだ。
顔は……見えない。
足元だけ。
「……はぁ。声も出さなくていいから、とりあえず立てるか立てないか、どっちだ?」
私は、首を横に振る。