白い虎と蝶 ~絆~


他にも人がいたのか、返事が聞こえたあとドアが閉まる音がした。



「顔、みせろ。今は俺しかいない」



逆らっても、嘘をついてもこの人にはなんでもわかっちゃう気がした。



ゆっくり顔を上げて周りを見ればほんとにこの人だけだった。



「いくつだ?」



「……13」



「名前は?」



「………桜田、かな」



これは嘘の名前。



信用したわけじゃないし、本名は知られたくなかった。



私の考えてることなんてわかる人は、今までに出会ったことは無かったから、見破られるとは思ってなかったけど。



基本無表情の私の考えてること思ってることなんかわかる人は今までもこれからもいないと思ってた。



「本当の名前を言え。俺に嘘ついても無駄だぞ」



「っ!…鹿島……まな。白蝶って…呼ばれてる」



ここに来る前までは白蝶の格好だったから、白蝶の髪やカラコンが付いたままだった。



ウィッグは横から見えたしカラコンには度が入ってるから、すぐに分かる。



だから、咄嗟にそう言った。



嘘じゃないから。



でも、そんなことはどうでもいい。

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