白い虎と蝶 ~絆~


驚いた。



「泣きたいなら泣けよ」



涙が出てなくても泣いてることに気づいてくれる人、悲しくてもそれをわかってくれる人がいると思ってなかったから。



命令口調なのに、優しい声。



頭を撫でてくれた。



「……………そうか、お前が。嫌じゃないなら俺のところに来いよ。お前が嫌だと言うなら来なくていい。


なんせ、俺のところに来たら普通の人生は送れないからな。



普通の人生は送れないが俺がお前を守ること、わかってやること、味方でいること、幸せにすることは保証してやる。



どうだ?」



どうだって言われても、初めてあった人について行くって……。



普通の人生なんか既に送ってないからそこは別にいい。



普通の生活なんか今更求めてない。



私が迷っているのはこの人を信じていいのか決められないからだ。



「施設には行かせないし、お前が話したくないと思ったやつには口を聞かなくていい。施設は、帰りたいと行ってもそうしてやらないが、それ以外はお前の自由だ。来るか?」



施設に帰りたくないし、この人なら私が望めば一人でいさせてくれそう。



私はこの人を利用しようと思った。

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