白い虎と蝶 ~絆~
家は一軒家かアパートを想像していた私にとって広すぎるぐらいの豪邸だった。
「そう言えば名前がまだだったな。俺はこの町を支配してるここの若頭、九条魁(かい)だ」
なるほど。納得。
この豪邸の家に車、怖いと思った雰囲気も。
それがあったからなのか。
だけど、以外にも私の心は図太いらしい。
すごい冷静でいられた。
この人はどこか私と似ている気がしたから。
「呼んでみろ」
「…………九条……さん」
「魁」
「魁……さん」
「魁だ」
ご、強引。
でも、流石に呼び捨ては……できない。
「………魁さん」
「ははは。慣れてきたら魁って呼べ」
笑った。初めて見た。
私は魁さんに連れられ車から降りる。
あまり話したくない。
今は誰かといたくない。
そう思うのに魁さんとはいてもいいかもとか魁さんといたいかもと思う自分がいる。
不思議。
私を奥の部屋まで案内してくれる間も、魁さんは私の手をずっと握ってた。