白い虎と蝶 ~絆~
なんで?
どうして。
はやく、帰ってきてよ………魁さん。
私、まだあの頃からちっとも成長してないや。
弱いままだし、信じることに踏み込めない。
ダメだね。
「まな?顔、あげろ」
素直にそう出来たら、いいのに。
できない。
「なんで?」
そんなの決まってる。
かなめが離れていくなら仲良くならなくていい。
また失うなら、特別なんて作らなければいい。
だから、お願い。
私の考えてることを理解しないで。
優しくしないで。
もし、かなめが帰ってこなかったら……。
「怖い?」
かなめの声が少しイライラしたものに変わる。
怖いよ。
怖いに決まってる。
………………………。
助けて。
「え……?」
暖かい温もりと共に視界が暗くなった。
何をされてるのか気づくまでに、あまり時間はかからなかった。
私はかなめの腕の中にいた。
「辛いなら、泣けよ。あんま、まなの泣き顔はあんまり見たくねぇけど。
お前が辛くて溜め込むなら俺はお前の泣きそうな時こーしてやるから。
いまは、泣け」