白い虎と蝶 ~絆~
さっきみたいに怒った声じゃなくて朝と同じだ。
「かなめが女に笑いかけてるところ……俺初めて見た……」
「俺も。それにあんなこと言うなんて……」
コソコソとひかると彗が話す。
泣いていたとはいえ教室は静けさを取り戻していた中での発言。
泣いている間は教室にいなかったくせに、いつの間に戻ってきたの?
私に聞こえてるってことは、もちろんかなめにも聞こえているわけで……。
「あぁ?お前ら、なんか言ったか?」
目が笑ってない……。
かなめ、怖い。
「……私、今日は帰るね」
「送ってこうか?」
荷物を持って立ち上がる。
あ、怖くない。
1人で大丈夫……だけど、バイクに乗るの楽しかったな。
また、乗せてくれるかな………。
なんてね。
「乗りたいならそう言えばいいだろ?それに、ちゃんと乗せてやるよ」
ほんとなんでも分かるんだね。
何も言わなくともかなめには伝わる気がした。
今日は1人でいいかな。
大丈夫だと思うし。
「俺らもいるんだぞ?」