白い虎と蝶 ~絆~
運ぶテーブルを間違えたり、水をこぼしてしまったり、お皿を割ってしまったり、お釣りを間違えたり……。



店長に「今日、どーした?珍しくミスばっかだな。大丈夫か?」と心配された。



ここで雇われる前に店長は、私に喧嘩を売ってきた。



まだ私が白蝶と呼ばれて間もない時だった。



『お前がここで最近強いって言われてるやつか?』



『……………』



フードで鼻から上は見えていないけど私は顔だけを向けて声のした方を見つめた。



私は一切話さない。



『そーか。話す気は無い、と。ねぇ、あんた俺と賭けやらない?』



喧嘩売ってくるやつらばかりの中でこの人は少し変わってる人だ、そう印象を持ったのを覚えてる。



今でも変わった人だけど。



『………』



『賭け事!やろーよ!俺が勝ったら俺の店で働いてよ!あんたが勝ったら……そーだなー……んー』



呆れた。



何も考えずに勝負挑んできたの?



『……………』



『あんたが勝ったらどーすっかなー……俺の店で飯を永遠に無料で食わしてやるよ!



どーだ?好きな時に来て好きなだけ食ってなにも払わないで帰れるんだぞ?』



『ん……』

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