白い虎と蝶 ~絆~
理由としては他にもある。



バイトを初めてから1度だけ、私はボロボロで全身怪我だらけになって勝った時がある。



たまたま近くを通りがかった店長が私を見つけて手当してくれた。



その時から怪我したらいつでもここに来いと言ってくれて、私はそれに従っている。



ここまで、いろいろしてくれる人は今までにあの人たち以外に会ったことない私はこの人を信用してる。



私の思ってることとか考えてることとか隠そうとしてることを手に取るようにわかってしまう。



ちょっと憎たらしいけど………私にはそれが、嬉しかった。



きっと、気づいて欲しかったんだ。



隠してもそれを見破って欲しかったんだ。



だから、すごく嬉しかった。



「今日は、帰れ」



「……?」



店長にいきなりそんなこと言われた。



多分、私がこのままここにいてもミスしかしないし、迷惑か……。



「迷惑じゃーねよ。変な勘違いすんなよ?お前、今日考え事してんだろ?ゆっくり考えてこい」



ほんと……エスパーかなにかなんでしょうかねー。



今日、もう1人エスパーが使える人に会ったよ、店長。



なんて、店長に心の中で話しかける。



「ん……」



それだけ言って私はロッカールームに向かう。



「今度は、1日働いて貰うからな!」



私は、無言で手を振って応える。



「相変わらず無口で無愛想なやつだな」



会った時は笑ったのによ……と続けている。

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