幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
「玲音!」


正面から玲音の瞳を見つめて、
玲音の両手を握る。


玲音の黒い瞳が不安に揺れる。


「ちゃんと、玲音の気持ちを、私に教えて」


黙ったままの玲音をじっと見つめると、
玲音がゆっくりと口を開いた。


「俺、……本当は、離れたくない。
ここでりり花の近くにいたいよ。

でも、俺がみんなのこと困らせちゃだめだから。

俺がいることで、
みんなに迷惑をかけてるから」


視線を外して、瞳に諦めの色を浮かべている玲音に声を張り上げる。


「いいのっ! 困らせたっていいんだよ? 
玲音は迷惑なんかじゃないっ! 

初めて玲音に会った時、弟ができたみたいでどれだけ私が嬉しかったかわかる?

初めて一緒に保育園行った時、
どれだけ楽しかったかわかる?

玲音のこと、迷惑だなんて思ったこと、
一度もないっ‼

ちゃんと自分の気持ち伝えないと、
わかってもらえないんだよ? 

玲音ばかりが、我慢しなくていいの!」


「そうなのかな……」



「そうなのっ!」



ポロポロとこぼれる涙は、私の涙だった。

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