幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
雪が静かに降り続けるなか、
玲音とマンションへと続く道を歩いた。


「クリスマスイブ、終わっちゃうね。
ケーキ食べ損ねちゃったね」


玲音が小さく頷く。


「俺さ、母さんにちゃんと話す。
ここにいたいって、ちゃんと話すよ」


玲音の言葉に黙ってうなづいた。


「それからね、りりちゃん。
俺、りりちゃんのこと、好きだよ。大好きだよ」


玲音のまっすぐな瞳に笑顔で応える。


「うん! 私も玲音のこと、大好きだよ。
小さいときからずっと、大好きだよっ」


頑張れって思いながら、玲音の手をつないだ。


私は玲音のこと、絶対にひとりにはしないよ。


しんしんと降り続ける雪空をあおいで、
玲音に笑いかける。



「玲音、覚えてる? 

玲音がうちの隣に引っ越して来たのって
12月25日だったんだよ。

“サンタさんがプレゼントに玲音をくれたんだ”ってすごく嬉しかったんだよ」



寒さで頬を赤くした玲音が表情を緩める。



「玲音、今年のプレゼントはなにが欲しいの?」


「俺は、その、りりちゃんの……」


「私?」


「その、俺……かれ、彼氏とか…」


靜かな夜道に玲音の声が響く。


「え~~っ‼ 彼氏‼ 
玲音、彼氏が欲しいの⁈ 

そうだったの?
だから先輩たちのこと断ってたの?」


「ち、違うよっ! そうじゃなくて‼ 
それ、どう考えてもおかしいだろっ!」



「あ、そっか! ふふっ、そうだよねっ」


すごく寒い夜だったけれど、
玲音と一緒にいたからか

不思議と寒さは感じなかった。

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