幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
おばさんの病院に向かうバスの中で
隣に座っている玲音の顔が強張っていることに気づいた。
玲音は最近、病院に行きたがらない。
きっとなにか理由があるはず。
流れる景色をぼんやりと見つめている
物憂げな玲音の横顔を見て、
少し考えて
玲音の手をぎゅーっと握った。
「り、りりちゃん!なんだよ?!」
慌てて手を振り払った玲音に、目を丸くする。
「手、つないじゃダメだった? 」
「も、もう俺たち中学生なんだから、手とかつながないだろ、普通」
「あ、そっか……
あは、は、そうだよね……」
耳を赤くしてそっぽを向いてしまった玲音に
ちょっとだけさみしい気持ちになった。
ついこの前まで、手をつないで一緒に帰ってたのにな。
玲音もそのうち三年生の先輩たちみたいに、
大きくなっちゃうのかな。
背が伸びて、ごっつくなって、男臭くなって、
毛とかもじゃもじゃになって……
「イヤっー!!!
毛、もじゃもじゃだけはイヤー!!」
思わず叫ぶと、
目の前に座っていたおばあさんが怪訝な顔で振り向いた。