幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
その日の放課後、
ちはるちゃんがバタバタとすごい勢いで私の席までやってきた。
「ねぇ、りり花。サッカー部の高松先輩って知ってる?」
「高松先輩? 」
「すごくかっこいいんだって!
読者モデルにスカウトされたこともあるんだって!」
興奮して机をバンと叩いたちひろちゃんの勢いに思わずのけぞる。
「へ、へぇ」
「如月の練習見に行った時、気がつかなかった? 」
思い返してみるけれど…
「気がつかなかったなぁ」
「りり花は如月くんのことしか見てないもんね。
完全に保護者目線で」
「そうかな?」
「そうだよ。だからたまにはさ、高松先輩見に行こうよっ。
今日、体育館使えなくて
久しぶりに部活、休みなんだ♪
イケメン鑑賞して、気分転換して
明日の練習に備えなきゃっ!」
行く気満々のちはるちゃんに、
両手を合わせて謝った。
「ごめん、ちはるちゃん。やっぱりやめておく。
練習を見に行くと玲音が嫌がるから」
「まぁ、まぁ、いいじゃん! いいじゃん!
如月を見に行くわけじゃないんだからさっ!
如月みたいなチビに文句は言わせない!」
「ち、ちはるちゃん…
それは言っちゃダメなやつ……」
「いいから、いいから!
ほら、早く行こうっ! 」
ちはるちゃんに押し切られるようにして
サッカー部を見学するためにグラウンドに向かった。