幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
「あれ、あれ、あの人だよ」
ちはるちゃんと二人でネット越しにサッカー部を見学していると、
背の高い先輩がボールを追って近づいてきた。
ひょろりと背が高くて、さっぱりとした顔立ちの高松先輩は確かに人気がありそうだった。
「めっちゃ、かっこいいっ! 」
興奮したちはるちゃんがそう言いながら、
ピタリと動きを止めた。
「あれ? うちの部の先輩達だ」
そう言って、校門へ向かっている先輩達に
大きく手を振った。
「先輩、お疲れ様です! 」
ちはるちゃんの声に、
ジャージ姿の先輩たちがこっちを向く。
「女子バスケ部の先輩?」
ちはるちゃんにたずねる。
「そうっ!めちゃくちゃ上手い先輩たち!
でも、あれ?
今日は部活休みなのに、
どうしてジャージ着てるんだろ? 」
ちはるちゃんが首を傾げていると、
先輩のひとりが、
ちはるちゃんに向かって手を振りながら大きな声をだした。
「佐々木ちはるー!
これから私達、市民体育館で自主練するけど来るー? 」
先輩の言葉にちはるちゃんが飛び上がった。
「参加していいんですかっ⁈ 」
負けず劣らずの大声でちはるちゃんが答える。
「やる気があるなら来~い! 」
笑いながら先輩たちが、ちはるちゃんに手招きしている。
「どうしよう、りり花!!
先輩たちの自主練に誘われちゃった‼
めっちゃ嬉しいっ!
ごめん、りり花、行ってきてもいいかな⁈
私から誘ったのに本当にごめん‼ 」
興奮して頬っぺたを赤くしているちはるちゃんは
とっても嬉しそう!
「先輩たちに誘われるなんてちはるちゃんすごいねっ! 上手なんだね! 」
「先輩たちの自主練に誘ってもらえるなんて、
嬉しくて泣きそう‼ 」
涙目になって喜んでいるちはるちゃんに、
先輩たちが
「早く来い~! 」と手を振っている。
「りり花、私から誘ったのに本当にごめん!
今度埋め合わせするね!
行ってくるっ! 」
ちはるちゃんはそう言い残して、
先輩たちのもとへものすごい速さで駆けていった。
ちはるちゃん、足、はやっ!
すると……
「すげえ、でけえ声…。あれって、バスケ部? 」
突然後ろから話しかけられて飛び上がった。