幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
【玲音 side 】


ボールを倉庫からグラウンドへ運んでいると、

キャプテンの高松先輩に声をかけられた。


「あのさ、あの子って、如月の幼なじみなんだろ?
彼氏いないんだよな? 」


「りりちゃんのことですか? 」


「そうそう、あそこでこっち見てる子」



高松先輩の指さした先には、
りりちゃんがスマホ片手に立っていた。




「俺、来週末、あの子のこと、
誘ってみようと思ってさ」


え?


びっくりして高松先輩を見上げる。


「さっき話しかけてみたらすげぇ感じ良くて、
仲良くなりたいなと思ってさ」



動きを止めて、高松先輩を見据えた。


「おい、おい、如月、そんな怖い顔すんなよっ。
お前ら、つきあってるわけじゃないんだろ? 」



唇を噛んで、手のひらをぎゅっと握る。


「りりちゃんは、俺の大事な幼なじみなんで」


絞り出すように、そう伝える。


「まぁ、そうだとしてもさ。

とりあえず誘ってみて、
一度ゆっくり話してみたいなと思ってさ。
実際、話してみないと色々わからないじゃん。

めちゃくちゃタイプなんだよ、あの子」


「でもっ…」



「別にお前に許可もらってるわけじゃないから。
とりあえず報告しておいた方がいいかなと思って。

つきあってるわけじゃないなら、
俺が何しても関係ないだろ?

じゃ、そういうことだから!」


そう言うと高松先輩はカゴからボールをひとつ手に取ると、
グラウンドへと走っていった。


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