幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
………高松先輩がりりちゃんのことを?


心臓が嫌な音を立てはじめ、

手のひらにジワリと汗が浮かぶ。



おばさんの口にした『りりちゃんの彼氏』という言葉が頭をよぎる。


すると、同じ2年の沢村が、
グラウンドを取り囲むネットの向こうを指差した。

「あの女子のグループ、みんな高松先輩を見に来てるらしいぜ。

高松先輩、カッコいいし、サッカー上手だしな。
たしかに高松先輩のプレー見たら惚れるよな」


沢村が言う通り、かなりの数の女子がサッカー部の練習を見に来ている。


ふと視線を動かすと、

少し離れた場所からりりちゃんがこっちを見ていた。



そこにキャプテンの声が響いた。



「じゃ、いつも通り、それぞれ軽いアップ終えたらゲームするからボールしまって集合! 」
 


高松先輩の声を合図に、チームがふた手に分かれた。


高松先輩とはチームが分かれた。



練習試合がはじまると、パスを受け取った高松先輩に体当たりした。



倒れ込んだ高松先輩から力任せにボールを奪うと、

ゴールに向かって無我夢中でドリブルを続ける。



高松先輩にボールがまわらないように、
パスをカットして、ゴールを目指す。



りりちゃんは、誰にも渡さない。


「如月、今日どうしたんだよ。
なんだか殺気立ってるぞ」


「なんでもないっす」


「もう少し落ち着いてプレーしないと、ケガするぞ」



2年の先輩が戒めるように俺の肩を軽く叩いたけれど、

その手を払って走り出し、


休む間も無く、ひたすらボールを追って走り続けた。



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