幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
【玲音 side】


いつ高松先輩がりりちゃんに声をかけるのか
気が気じゃなくて、

落ち着かない毎日を過ごした。


りりちゃんは相変わらず何にも気がつかずに
呑気に笑ってるし。


憂鬱な気分で部室に向かうと、3年の先輩に肩をつかまれた。



「如月。お前、今日は気をつけろよ」



「…え? 」



「高松、お前の幼なじみに振られたって
朝からピリピリしてるからさ。

近づかないほうが無難」


「ホントですか? 」


先輩の言葉に思わず目を見開いた。


グランドに行くと高松先輩が乱暴にボールを蹴り上げているところだった。


遠目に見ても、
高松先輩が荒れているのがわかる。


俺の顔を見ると高松先輩が視線を尖らせて、
近づいて来た。


「如月、お前ら本当はどういう関係なんだよ?
幼なじみなんて嘘だろ?

あの子のこと遊びに誘ったら、

週末はお前の飯作りたいから無理だって、
あっさり断られたんだけど」


「飯って、なにそれ⁈ 」


高松先輩の話を聞いて他の先輩も集まってきた。



「それって普通じゃないだろっ」


「隠してるだけで、お前ら付き合ってるんだろう! 」


「おいっ! 白状しろよっ‼︎ 」


「彼女なのか!  それともむしろ、嫁か?
嫁なのか⁈ 」


「チビのくせにあんなに可愛い子と!
生意気なんだよ!  少しは否定しろっ‼︎ 」


先輩たちにからかわれて、もみくちゃにされて、
戸惑いながらも、

ホッとしたのと、嬉しい気分が混ざり合って、

今すぐにでも、

りりちゃんに会いたくてたまらなくなった。


でも、りりちゃん、いつの間に告白されたんだろう…


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