幼なじみの溺愛が危険すぎる。 〜中学時代〜
「これからはこんなことしちゃ絶対にダメ。
必ず相談して。わかった? 」


返事の代わりに小さく頷くと、
お母さんが私の頭にふわりと手のひらを乗せた。


「まぁ、もう休んじゃったなら仕方ないわよね。
りり花が自分で決めたんだものね?」


お母さんの言葉に黙って頷いた。


「それじゃ、はい、これ」


そう言ってお母さんがカバンのなかから取り出したのは、

遊園地のチケットだった。



意味がわからずに、
目を丸くしてそのチケットを見つめた。



「これ、職場でもらった招待チケット。

まぁ、ホントなら修学旅行休んで遊園地なんて、
絶対にダメなんだろうけど。

せっかくだし、玲音くんと行ってきたら?
修学旅行の思い出づくりの代わりにね」


「いいの⁈ 」


「だって、退屈でしょ?
どうせ誰にも会わないだろうし。

その代わり、ひとつだけ約束して」


そう言って、イスに座り背筋を伸ばしたお母さんと向かい合った。


「修学旅行に行かなかったことは
如月さんには黙っていること。

りり花の気持ちはわかるけど、
こんなことをしたら、如月さんに責任を感じさせてしまうことになる。

それから、次からはどんなことも相談すること。

勝手に決めて勝手に休んじゃダメ。
わかったわね? 」


そう言って、にっこり笑ったおかあさんに

ぎゅうっと抱き着いた。


「わかった、約束するっ。おかあさん、ありがとうっ!」



いろいろ考えて、修学旅行を休むことは
玲音にも言わないことにした。
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