Stop!!車掌さん
「愛花は好きな人とか、……て顔赤ッ!!」
―好きな人。
その単語だけで、こんなにも赤くなる、あたしの顔。
「あっ…杏那ちゃんッ!!」
―ん? と首を傾げる杏那ちゃん。
「あのねッ!!あたし、今日の朝ッ――」
「間に合ったね、あ・た・し」
見上げた視線の先には、
息が詰まる程かっこよくて、
息が出来ないほど完成された、
―浅野聖人―
が、車掌専用の扉から
半身を出してこちらを見ていた。
帽子を被っててもわかる、あの金のメッシュ。
仕事中なのに、腰パン。
そしてなにより、その顔が。
釣り上がった眼。
スッと通った鼻筋。
プクッとかわいらしい唇。
少し悪戯に微笑む姿に、……
―あたしは、恋、…をしました
その事ばっか考えてる内に、いつの間にか入学式が始まってた事まで話した。