chocolate mint
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ふわ、ふわ、ふわ……
緩やかに頬をくすぐる柔らかい感触に、まどろみかけた意識がゆっくりと引き戻される。
ゆっくりと目を開けると、目の前に真っ白なうなじが見えた。
本能の赴くままに、チュッとうなじに唇を寄せる。
「……んっ、ふふっ」
まだ夢の中のはずなのに、くすぐったいなぁーとでも言うように身を捩りながら微笑んだ気配を背中越しに感じた。
……あー、可愛い。
可愛くて堪らない。
今僕を起こしたその悪戯な髪をかき分けて、白い首筋に、柔らかな肩にがぶりと噛みつきたい衝動を必死に抑え込んで、気を逸らすようにベッドサイドに置かれた時計に目を向けた。
朝の6時。
普段の彼女だったら、もうとっくに起き出して出勤の準備を始めている時間だ。
だけど、昨日『今日は寝かせないから覚悟してね』と宣言した通りに夜通し愛し合って、眠りについたのは夜が明け始めたついさっきの事だったから、すっかり部屋が明るくなっているのにも気がつかずに彼女はすやすやと眠っている。
ちょっと……調子に乗りすぎたかもしれない。
昨日は付き合ってから初めてのデートだった。
僕自身も浮かれてたし、彼女が僕が思っている以上に僕とのデートを楽しみにしてくれていた事も分かって……
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