chocolate mint
「それにさ、香織ちゃんが情けないって言うんだったら、アイツのほうが十倍……いや、百倍は情けないでしょ」
ニヤリと笑って冗談めかして話す。
「あはは……。情けないのは私だけじゃなかったね。…そっか。そうだよね……」
クスクスと笑った後で、ようやく香織ちゃんの両目から涙が溢れだしてきた。
「……そのまま泣いてていいよ。今までずっと泣けなかったでしょ」
「香織ちゃんの恋は終わったんだよ。安心して気持ちを解放したらいい」
そうだよ。もう、アイツの事で辛い思いなんかしなくていいんだ。
香織ちゃんの恋は終わったんだから。
***
香織ちゃんは、僕をずっと見つめたままで涙を流し続けていた。
その涙に濡れた目を、涙が伝う頬を見るうちに、どうしようもないくらい、切なく胸が痛みだしてきた。
香織ちゃんは……泣き止んだら、たぶん、この前みたいにあっという間に僕の腕の中から抜け出してしまうのだろう。
そして、明日からはまたただの友達として過ごしていくんだ。
もしかしたら、また変に前向きなスイッチが入って、すぐに新しい恋を見つけてしまうかもしれない。