chocolate mint
首を捻る僕に向かって、和希さんがニヤリと笑って言った。


「届けてくれたんだよ、お前ん家から」



僕の家から……って、




……香織ちゃんが?




『……裕介くん』




思い当たった瞬間、耳元で香織ちゃんの甘い声がよみがえって、ぶわりと頬に熱が集まった。




「……っ、そうですか」




慌ててスマホに手を伸ばしたけど、動揺したのはバレバレだった。



「なーに赤くなってんだよ。やらしーなー。……わざわざ休みまで取って、ずーっと二人っきりでナニしてたんだか」



「何もしてませんよ!!」



咄嗟に否定はしたけど、いつも笑顔を貼り付けられるはずの顔は、まるで筋肉が固まってしまったようにピクリとも動かす事が出来なかった。




「ーーっ、僕、向こう側の方片付けて来ますから!」




逃げるようにその場を立ち去った僕の背中を追いかけるように、和希さんの笑い声が響く。


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